こんな方におすすめ
- 急性胃炎や強い胃痛を経験し、痛み止めが効かず不安になった人
- アルコールや暴飲暴食をしていないのに、なぜ胃炎になったのか腑に落ちていない人
- 寒い環境や立ち仕事、ストレスの多い働き方で、胃への影響を知っておきたい人
2024年の11月。急性膵炎を経験した。
あのときの痛みは強烈で、「これは本当にまずい」と直感するレベルだった。ただ、治療が進むにつれて、痛みにははっきりとしたピークがあり、少しずつ引いていく感覚もあった。
ところが今年2026年1月7日、急性胃炎になったときのつらさは、性質がまったく違っていた。
午後に病院で点滴を受け、痛み止めも入れてもらった。それでも症状はほとんど変わらず、その後に処方薬を飲んでも、夜になってからの痛みはむしろ際立った。横になれず、眠れず、時間だけが過ぎていく。正直、精神的には膵炎よりも追い込まれた。
アルコールを飲んだわけでもなく、暴飲暴食をした覚えもない。ただその日は急に冷え込み、屋外で立哨の仕事をしていた。加えて、ここ最近、仕事上で積もっていた小さなストレスもあった。
なぜここまでつらくなったのか。
体験後に調べていく中で分かったのは、急性膵炎と急性胃炎では「痛みの仕組みそのもの」がまったく違うという事実だった。
Contents
急性膵炎と急性胃炎は「痛みの種類」がまったく違う
「腹痛」と一言でまとめられがちだが、急性膵炎と急性胃炎の痛みは、発生源も性質もまったく別物だ。
この違いを理解しないと、「なぜ胃炎のほうが長くつらいのか」が腑に落ちない。
まず急性膵炎。
膵炎の痛みは、膵臓そのものに起きた炎症による深部臓器痛だ。体の奥から締め付けられるような、逃げ場のない強烈な痛みが特徴で、ピーク時の破壊力は非常に高い。ただしこの痛みには「山」がある。炎症がピークに達し、その後、点滴や絶食によって炎症が抑えられていくと、痛みも段階的に下がっていく構造になっている。
一方、急性胃炎の痛みは性質がまったく違う。
胃炎の痛みは、
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胃酸による化学刺激
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胃粘膜の損傷
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粘膜直下の神経過敏
この3つが同時に絡み合って起こる。つまり、**「炎症そのもの」よりも「刺激にさらされ続ける状態」**が痛みの正体だ。
ここで重要なのが、痛みの時間軸の違いだ。
膵炎は「ピーク型」の痛み。
一気に強くなり、その後は下がっていく。
胃炎は「持続型」の痛み。
弱まったと思っても、またぶり返し、終わりが見えない。
同じ腹痛でも、膵炎は「一山越える痛み」、胃炎は「終わらない痛み」。
この構造の違いこそが、体感としてのつらさを大きく分けている。
胃炎の痛みは「刺激が止まらない構造」で長引く
急性胃炎が地獄のように長引く理由は、胃という臓器が持つ構造そのものにある。
胃は休まない。
食事中だけでなく、空腹時でも動き続け、胃酸を分泌し続ける。
これは生きるために必要な機能だが、胃粘膜が傷ついている状態では、その正常な機能すら攻撃に変わる。
胃炎が起きているとき、胃の中では次のような状態が同時進行している。
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胃粘膜は炎症で薄くなっている
-
胃酸はいつも通り分泌される
-
胃は蠕動運動を続ける
つまり、炎症があっても刺激が止まらない。
これが膵炎との決定的な違いだ。
さらに夜になると状況は悪化する。
横になることで胃酸が逆流しやすくなり、空腹時間が長くなることで胃酸濃度も上がる。周囲が静かになり、意識が痛みに集中することで、脳は痛みをより強く認識する。
結果として、
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夜に痛みが増す
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横になるほどつらい
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眠れない
-
時間だけが過ぎる
という「逃げ場のない感覚」が生まれる。
胃炎の痛みがつらいのは、強さだけではない。
終わりが見えないこと、止める手段が少ないことが、精神的な消耗を極端に大きくする。
これが「胃炎のほうが地獄だった」と感じる大きな理由だ。
点滴や鎮痛剤が効かなかった本当の理由
「病院で点滴の痛み止めを入れても効かなかった」
この経験は、胃炎では決して珍しくない。
その理由は単純で、多くの鎮痛剤は“炎症痛”を抑えるための薬だからだ。
鎮痛剤は、
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炎症物質の産生を抑える
-
痛みの信号を鈍らせる
といった仕組みで作用する。
これは膵炎のような「炎症が主因の痛み」には比較的有効だ。
しかし胃炎の痛みの主因は、炎症だけではない。
胃酸という化学物質が、傷ついた粘膜と神経を今この瞬間も直接刺激している。
つまり、
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痛み止めで感覚を鈍らせても
-
胃の中では攻撃が継続している
という状態になる。
その結果、
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効いている実感がない
-
数時間後にまた激痛
-
場合によっては悪化したように感じる
という現象が起きる。
これは治療が間違っているのではなく、痛みの種類と薬の役割が噛み合っていないだけだ。
胃炎では「痛みを止める」よりも「刺激を止める」ほうが圧倒的に重要になる。
寒さとストレスが胃粘膜を一気に弱らせる
今回の急性胃炎には、アルコール以外にも重要な引き金があった可能性が高い。
それが「寒さ」と「ストレス」だ。
寒い環境で長時間立ち続けると、体は体温を守るために血管を収縮させる。
このとき優先されるのは脳や心臓で、胃粘膜の血流は後回しにされやすい。
胃粘膜は血流によって修復され、守られている。
血流が落ちるということは、防御力が一気に下がるということだ。
そこにストレスが加わるとどうなるか。
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交感神経が優位になる
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胃酸分泌が増える
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胃の動きが乱れる
つまり、
攻撃(胃酸)は増え、防御(粘膜血流)は減る。
この状態が続けば、アルコールがなくても胃炎は成立する。
寒さと怒りは、目に見えないが確実に胃を削る要素だ。
まとめ
急性胃炎がここまでつらくなるのは、決して珍しいことではない。
そしてそれは、我慢が足りないからでも、体が弱いからでもない。
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胃は刺激が止まらない臓器
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胃炎の痛みは持続型
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鎮痛剤が効きにくい構造
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寒さとストレスで一気に悪化する
これらが重なれば、「地獄の夜」になるのは自然な流れだ。
構造を知っていれば、
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無理に痛み止めに頼らない
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寒さとストレスを軽視しない
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早めに刺激を遮断する
という選択ができる。
胃炎は甘い病気ではない。
だが、仕組みを知っていれば、同じ地獄を繰り返す確率は確実に下げられる。